トムソン加工で使われる「つなぎ」とは
トムソン加工とは印刷紙器加工業界で一般的な型抜き加工の方法で木型を使って様々な形に型抜きをすることです。今回はそのトムソンの加工のひとつ、「つなぎ」の加工をピックアップしたいと思います。
「つなぎ」加工とは
トムソンで製品とカス取り部を繋ぎ、製品とカス取り部がばらけるなどといった事故を防ぐための加工です。他にも「ニック」、「マイクロジョイント」、「ノッジ」、「トメ」、「刃殺し」などと呼ばれます。つなぎは、トムソン型の刃にほんの少しキズや隙間(ミゾ)を作って、切れない部分をつくります。その大きさは薄紙の場合、約0.1mm~程度ほど。つなぎを入れると刃が切れていないため、下記写真のような突起ができます。
下記の写真は1枚で見てみた写真です。1枚で見るとあまり分かりませんが切れていない部分がごくわずかに突起のようになっています。上記の写真のほうがやはり束にして断面が見えているので良く分かります。
つなぎ加工では加工する場所だったり、数や大きさが重要となってきます。
そこを注意して加工しないと品質が逆に悪くなってしまうからです。
では、つなぎの数が多く大きい場合は。
その場合、回転数が上がり、ばらけて機械が停止する事が減って生産数が上がります。ですが、製品の仕上がりや見栄えは悪くなってしまい、後工程の貼りや組み立てに影響が出る可能性がでてきます。
またつなぎの箇所が多い場合だと、
製品の見栄も悪く、紙粉や糸くずが出て、落丁がしづらいといった事が起きます。
ですのでこのつなぎ加工では加工する場所だったり、数や大きさが重要となってくるのです。
木型から見る「つなぎ」
では今度は下記の木型写真からどういった部分がつなぎになるのかを見てみます。
拡大してよく見ないと分からないほど小さいです。こんなわずかな箇所の刃に加工をいれてつなぎ加工をするのです。図にしてみるとこんな感じでしょうか。
つなぎは必要以上に広く深く入れる必要はありません。
幅は狭い方が目立ちにくいですし、見栄も良くばらし作業もしやすくなります。
ですが、ブリッジの上は刃のダメージを抑えるためによけた方がいいです。もしブリッジの上に入れてしまうと刃が割れたり、変形したり、加工中に抜けて木型が潰れる可能性もあります。
では、もしつなぎが効きにくかったらどうすればよいのか。その場合、方法としては硬質のゴムやコルクを使用して効きを良くします。
ゴムやコルクは貼りすぎると抜き圧が上がってきてしまうので必要分のみつなぎを入れた箇所を挟みます。挟むことでつなぎの効き目が良くなるので、幅を小さくしたり、数を減らしたりすることが可能となります。
以上、トムソン加工の「つなぎ」のご紹介でした。
注意点を気を付けながら、つなぎを入れることはより品質の高いものを作ることに繋がります。つなぎ作業は、木型屋やトムソン屋が行う作業の一環で、お客様が何か意識する必要はありませんが、この記事を通して、ヤマトのトムソン加工への熱意やこだわりを少しでも感じていただければ幸いです。
また、トムソン加工のご相談・ご依頼などございましたら、大阪のトムソン屋 ヤマト紙工までお気軽にお問合せください。