表抜き・裏抜きの違い
薄紙厚紙問わず、多くの印刷物は、表抜きでトムソン抜きするのが一般的。
- 表抜きとは
印刷物の表面からトムソン刃をプレスして抜くこと。 - 裏抜きとは
印刷物の裏面からトムソン刃をプレスして抜くこと。
多くの印刷物は、表面からトムソン抜きするのが一般的ですが、どんな理由どういう意図・理由で裏抜きする場合があるのか、ご説明させていただきます。
パターン1)変形型に抜くだけの場合
トムソン加工の中でもよく見かけるこれらの形状は、表抜きが一般的です。
パターン2)変形型に抜き、同時に折線を入れる場合(封筒の場合)
製袋屋によって、表抜き・裏抜きの指定のある場合があります。
封筒といっても、角型やダイヤモンド貼、カマス貼など形状やサイズは様々。形状やサイズによって製袋機も異なります。
トムソン加工にて折線も入れる場合、紙質や折線の強さによっては、抜き後、表面から見ると紙の端が上へ反る場合があります。どんな加工でも紙が上に反ると作業しづらくなったり、機械に掛けられないこともあるでしょう。
封筒も同様、製袋機によっては、表面から見て上へ反ると機械のスピードが落ちたり、品質が下がったり、最悪機械に掛けられないようです。
しかし、紙が上より下に反っている方が、作業性は良好なため、トムソン時、印刷の裏面からトムソン刃と折線をプレスしても、表面から見ると、下へ反ることなるので、それのほうが、製袋屋はありがたいみたいです。
この感性は、長年封筒の抜きに精通しているからこそ想定できることであります。製袋屋に確認の上、進めたほうが無難と思います。
パターン3)変形型に抜き、同時に折線を入れる場合(折機に掛ける商品の場合)
よく見かける何回かに折られるリーフレット。70kベースから135kベースの薄紙に多く、折線なしで折加工もできますが、紙厚や紙質・紙目、色ベタの有無等によって折線があった方が、罫割れや折ズレなど防ぐことができ、折精度の正確性が向上するため、折線が必要かどうか、折屋さんが決められます。
また、下記のようによく見かけるリーフレットの折加工の場合、表抜き・裏抜きのどちらがいいのかについても、トムソン屋には分かりません。
折屋さんによって、あーしてほしい・こーしてほしいという要望に違いがあるからです。ですので、この手の商品を受注した場合は、折屋さんに表抜き・裏抜きのどちらがいいのか確認の上、木型を作り始めています。
A4を三つ折のリーフレット
仕上がり120mm×210mmのジャバラ折リーフレット
表抜き・裏抜きの違い
さて、表抜き、裏抜きの違いをご説明させていただきます。
下記、図1は、トムソン機内の打抜部の打抜き前のイメージです。
図2は、打抜きの瞬間のイメージです。
図3は、打抜きが終えたイメージです。
図4は、図3の打抜かれた紙の状態を拡大にしたイメージです。
《トムソン機の打抜部のイメージ》
上には木型が固定されており、プレスするとき、下の面版全体が上へ移動することにより紙を抜き切ったり、折線を入れたりします。
上記図1~図4のイメージは、表抜きのケースとなります。折線の刃物が表面から押されることによって、表面が凹み、裏面がもこっと膨れます。
反対に、図5のように印刷の裏面を上にして、表面を下にして、プレスすると、裏面が凹み、表面がもこっと膨れます。これが裏抜きと言われます。
表面が凹むのか、裏面が凹むのか、これによって、折り易さが変わるということなのです。
まとめ
一般的に表抜きする商品というと…
①折線がなく、変形型に抜くだけの商品(ミシン入、封筒、インデックス、など)
②厚紙のパッケージや台紙、ポケットファイルなど
裏抜きの可能性のある商品というと…
①折線のある薄紙の封筒
②折線のある薄紙のリーフレット
など