紙目について
厚紙(450g以上)の場合、印刷は胴と平行に紙目を通さないと、印刷上問題があるいう印刷会社が多いですが、トムソンの場合は、加工のやりやすさはともかく、どちらに紙目が通っていても加工は可能です。
薄紙(~135kまで)の場合も紙目はどちらに通っていても加工可能ですが、通しサイズでいうと、Y目にすることにより、抜き速度が上がり、抜き精度も上げることができます。
一般的に薄紙のトムソン加工は難しいと言われています。何が難しいのか、紙目に関係することを簡単に言うと、見当(けんとう)がでないことです。
見当がでないとは、本来の抜き位置よりずれて抜かれているということです。ミシン入れに関して言うと、多くの場合、切取り線の印刷がされており、その点線部分にミシンを入れなければなりません。スジ入れに関して言うと、オリトンボの部分にスジ入れしなければなりません。
ミシンがずれていると印刷物の仕上がりとして、不細工ですよね。また、スジ入れの位置がずれていると、後加工の折加工がしづらかったり、仕上がり寸法が変わることにもつながり、不細工ですよね。不細工以上に、商品にならないくらいにずれて抜かれていては話になりません。
では、なぜ紙目が見当の精度に関係するかと言うと、A4サイズくらいの紙をロール上に丸めてみてください。
縦長になっている方が丸めやすいですか?
それとも横長になっている方が丸めやすいですか?
丸めやすい方(反発のない方)が紙目の順目で、丸めにくい方(反発のある方)が逆目ということになります。つまり、丸めやすい反発のない方に紙目が通っている紙をトムソン機で抜く前に前当てという抜き位置を決める部品に紙を当てて1枚1枚抜いていきますが、紙が前当てに当たった状態がほんの少しでも丸まっていると、抜きズレが起こります。(図1)
これは、丸めやすい反発のない方に紙目が通っている紙に起こりやすい現象と言えます。
この現象が起こったり起らなかったりすることで、本体の抜き位置で抜けたり、ずれて抜かれている商品が混ざった状態で仕上がってきます。
本来の抜き位置で仕上げ続けるには、図2のように紙が前当てに当たっても紙がまっすぐになっている状態に紙を流していくことが重要であると言えます。
しかしながら、図2のように紙が前当てに当たっても紙がまっすぐになっている状態に紙を流し続けていくことは、決して簡単なことではありません。
湿気を含んだり、薄紙に片面PP加工していたり、盛り上げ印刷が施されていること等により紙癖が悪くなった場合は、特に気をつけなければなりません。
また、同様に45k~70kベースの薄紙が通しサイズでT目の場合も気をつけなければなりません。
このような抜きズレの防止策としましては、このようなことが挙げられます。
①初めに記したように、通しサイズでT目でなく、Y目にするということ
(トムソンの前工程や後工程でT目でないといけない場合は除く)
②機械の性能(超薄紙対応の機械改良を施されているか)
③オペレーション能力(抜き中に抜きズレを察知できる感性が必要である)
④むやみやたらに機械の抜き速度を速くしないこと
⑤見当検査装置(カメラ)の設置。
(ただし、紙癖が悪い場合は正しく機能しないため、あまり頼りにできない)
⑥トムソン屋の技術も不可欠です
②~⑥はトムソン会社の取り組み内容ですが、①は印刷手配される方の配慮によるものなので、商品や加工のやりやすさ、求められる品質レベルに応じて、紙目を考えることも重要であると考えています。