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トレーシングペーパーへのミシン目加工(半透明A4ファイル)

今回は、トレーシングペーパーを使用したペーパーファイルのトムソン加工(型抜き加工)事例をご紹介させていただきます。

トレーシングペーパーファイルの全体写真

 

最近ではSDGs(持続可能な開発目標)の一環として、環境に配慮する企業様も増えています。プラスチック製品を紙製品に置き換える活動もすすんでおり、ペーパーファイルにも注目が集まっています。

トレーシングペーパーファイル完成写真

そんな時に活躍する紙として、グラシンペーパーやトレーシングペーパーがあげられます。グラシンペーパーやトレーシングペーパーの場合、透け感がかなり強いため、中を見せる用途で使われていたプラスチック製品の代用にできることがあります。

ちなみに、プラスチックのクリアファイルと、トレーシングペーパーのペーパーファイルの透け感を比べてみるとこんな感じです。

クリアファイルとペーパーファイルの比較

さすがにクリアファイルの方が中身が鮮明に見えますね。ただし、ペーパーファイルもどんな資料が入っているか概ね確認できます。また、トレーシングペーパーを通すとふわっと柔らかい雰囲気になりますので、デザイン性の高いイラスト等を一番上に入れることでおしゃれに資料を持ち運べるかもしれませんね。

 

■今回のトムソン加工について

この製品では、打ち抜き加工とミシン目加工(折加工)を行わせていただきました。トレーシングペーパーは、折り目がつきにくい性質の紙ですので、罫線ではなくミシン目を入れてあります。

トレーシングペーパーファイルのミシン目加工

また、打ち抜き加工の際には、ファイルでよくみかける、指ぬき・裂け止めももちろん加工します。

指ぬきは、ファイルから書類を取り出しやすいようにする目的で入れる半円形の切込みです。裂け止めは、ファイルから書類を取り出す際に力がかかりやすい(=裂けやすい)部分に力を分散する目的でいれる切込みです。身近なものにも、使いやすいよう工夫が施されているんですね。

 

ヤマトでは、本製品以外にも、ペーパーファイル・フォルダの加工実績がございますので、よろしければご覧ください。
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紙製品製作のお悩みやトムソン加工のご依頼・ご質問などございましたら、お気軽に大阪のトムソン屋 ヤマト紙工までお問い合わせください。
見積もり依頼・お問い合わせはこちらから>>

■加工概要

加工内容 打ち抜き加工、ミシン目(折り)加工
商品形状 ペーパーファイル
紙の種類 GLトレーシング 155g
紙の寸法 4/6判 2切 2丁
印刷の色数 無地
こだわり/現場の声 トレーシングペーパーの打ち抜き加工はおてのもの!!
ヤマトでは多種形状のトレーシングペーパーの抜き加工を施しております。
■GLトレーシングのカラーと厚みについて

★カラーはピンク・イエロー・ブルー、そして一番使用頻度の高い半透明の4
カラートレーシングペーパー
★厚みはピンク・イエロー・ブルーは92gのみ(薄すぎず厚すぎない)。
透明は一番薄い55g(コピー用紙より薄く、複写伝票よりかは少し厚い)、65g、75g、85g、95g、105g、135g、155g、175g、195gの10種。
透明は使用頻度が高いので厚みのバリエーションも豊富にございます。

■55gはかなり薄いですが、ヤマトなら抜き加工可能!

トレーシングの55gはかなり薄いですね。ですが、問題なく抜くことができます。不慣れなトムソン屋が加工すると、しわや破れ・抜きズレの恐れがあります。

ちなみに、薄い紙といえば、和紙もありますが、和紙の方がトレーシングペーパよりもトムソン加工の難易度は高くなります。
ヤマトでは、そんな和紙のトムソン加工実績もございますので、ご興味ございましたらご覧下さい。
匠のブログ(和紙一覧)はこちらから>>

■トレーシングペーパー製品では厚みを間違えないで!?

封筒や商品パッケージによく使用されるトレーシングペーパー。135gまでの厚みであれば封筒の折・貼加工は問題ございませんが、155g以上の厚みは要注意です。

抜き加工は問題ありませんが、抜き後の機械による貼りや折り加工ができない恐れがあるからです。特に折りができない恐れがあります。抜き加工時に折スジ加工を強く施しても、紙の特性上素直に折れてくれません。また、折ったあとに紙を広げた際、ちぎれる可能性が非常に高くなります。ですので、155g以上の製品加工を検討されている方は、生産前に折・貼加工のサンプルテストをオススメいたします。

機械折が無理なら手作業で折ればいいのでは?と思うかもしれませんが、手作業で折ると折り部分がトレーシング素材の破損によって白くなってしまうため、綺麗な製品に仕上げることはできません。
折り目が白い

■厚み155g以上を綺麗に折る方法

打ち抜き加工時、折スジを普段よりも強く入れてもスムーズに折ることはできません。また、トレーシング素材が破損して、折断面が汚くなってしまいます。
折断面(罫線)

スムーズに折るためには、折ミシンを入れるしかありません
トレーシングペーパーファイルのミシン目加工
ミシンはカットとアンカット部分が交互になっているため、スムーズに折ることができます。

ただし、折後は折断面がガタガタになりますので、こちらも製品としてこれでよいか本生産時にはサンプルテストが必要かと思います。
折断面(ミシン)

■まとめ

〇135gまでは折スジがなくても、機械折加工は可能  
〇機械折できる可能な厚いトレーシングを使用するなら135gが限界!
〇どうしても155g以上のトレーシングを扱う場合は以下の点に注意する
・155g以上の場合、折スジを強く入れてもスムーズに手折り・機械折できない が、折ミシンなら可能
・155g以上の場合、手折り・機械折できたとしても、製品が破損する可能性有
・155g以上の場合、折スジを強く入れても問題なく機械折できるかどうか事前テストを!  

図面