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トムソン加工時に発生する紙粉・ヒゲの原因と対策

本記事では、トムソン加工での紙粉・ヒゲの発生原因とその対策について解説していきます。

トムソン加工って何?という方は、こちらの記事からご覧ください。
トムソン豆知識(トムソン加工とは)はこちらから>>

■そもそも紙粉・ヒゲって何?

紙粉とは、その名の通り紙の粉のことです。
紙粉の写真

粉自体はとても細かいのですが、大量に発生してしまうと白っぽく見え、ぱっと見の印象や手触りはホコリを被っているかのように、見えてしまうことも…

 

また、ヒゲとは、細長い紙の切れ端のようなもののことです。
ヒゲの写真

こちらも、発生してしまうと商品からぱらぱらと紙の切れ端が落ちたり、見た目がよくなかったりします。

■紙粉やヒゲが発生する原因

紙粉やヒゲはなぜ、発生してしまうのでしょうか。主な発生原因として、以下の3つがあげられます。

  1. 刃と紙の摩擦
  2. 紙の種類
  3. 逆目に刃を入れている

1.刃と紙の摩擦

まず、木型の刃と紙とで大きく摩擦があると、紙粉やヒゲが多く出てしまうことがあります。では、刃と紙の間でなぜ大きな摩擦が発生してしまうのでしょうか。理由は主に2つあります。

・ゴム付けが不適切

ゴム付けというのは、トムソン加工の際、紙と刃がひっついて取れなくなることを防ぐために行います。
トムソン加工ゴム有アニメ

ゴム付けに関して、イメージが分からなければ、こちらの記事をご覧ください。
トムソン加工におけるゴム付の重要性はこちらから>>

このゴム付けの際、重要になるのが、どの硬さのゴムをつけるのかということです。ゴムは硬すぎても、柔らかすぎてもだめなのですが、柔らかいゴムをつけた場合に、紙粉やヒゲが発生しやすくなることがあります。

柔らかいゴムでは紙を十分に押さえつけられず、余計に摩擦が発生してしまうからです。


・刃が摩耗

木型には、紙を切るための刃がついています。カッターや包丁等と同じく、木型の刃も何度も使用しているうちに、少しずつ摩耗し切れ味が悪くなってしまいます。
刃こぼれした包丁のイラスト

このような刃の摩耗でも、摩擦が大きくなり紙粉・ヒゲの発生につながってしまいます。

2.紙の種類

紙粉やヒゲの発生具合は、紙の種類にも左右されます。

まず、紙の厚さです。薄紙(チラシや手帳くらいの厚み)では、目立って紙粉が発生することは少ないですが、厚紙(パッケージなどの厚み)では、紙粉が多く出てしまう事があります。これはもちろん、刃と紙の接地面積が広くその分紙粉が多く発生するという事です。

また、同じ厚みでも、紙の種類によって違いがあります。
これは、個人的な感覚ですが、例えば、JETエースW-Fは比較的出にくく、OKフレースPROはちょっと出やすいかなと思う事が多いです。
(もちろん、形状や印刷・表面加工にも影響を受けますので、必ずそうだという事ではありません)

また、蒸着紙(表面がメタリックな紙)など表面に加工が施されている紙も、紙粉が出やすいです。
蒸着紙
これは、表面に塗布されているものが紙粉と同様に粉や細いくずとなって発生しやすいためです。要するに紙粉以外に塗布物の粉も発生するので、結果粉やくずが多く出てしまうのです。

3.逆目に刃を入れている

紙には繊維の方向があり、これを紙目と言います。そして、「逆目に刃を入れる」というのは、紙目に対して垂直に刃を入れている、ということです。
(ちなみに、紙目に対して水平の場合は、「順目」といいます)

繊維に逆らって紙を切る場合、繊維方向に切る時よりも、紙は切りにくくなります。繊維をたくさんちぎりながら紙を切りますので、当然紙の屑は出やすくなってしまいます。

 

■紙粉やヒゲへの対策

では、紙粉やヒゲを無くすには、どうすればいいでしょうか。実は紙粉やヒゲを完全になくすことはできません。ただし、紙粉やヒゲを減らす方法はあるのです!!
対策も4つあります。

  1. 刃と紙の摩擦を減らす
  2. 紙粉の出にくい紙を選ぶ
  3. 紙目を意識して面付
  4. 仕上げ作業で除去

1.刃と紙の摩擦を減らす

おさらいになりますが、摩擦の原因は
・ゴム付けが不適切
・刃が摩耗
でした。

つまり、
・適切なゴム付け
・刃の交換
によって摩擦を減らすことが対策になります。

・適切なゴム付け

紙にもよりますが、硬めのゴムやコルクを使い、紙をしっかりと抑えてあげることで紙粉を軽減することができます。例えば、逆目の刃のゴムは硬めにする等、ゴム付けの際に、紙粉が出やすい場所を意識しておくことが大切です。

・刃の交換

こちらは、コストとの相談になりますが、刃を新しいものに替えるのも有効な手段です。定期的に生産をするパッケージ等は、クライアント様と相談の上、品質とコストのバランスを取ることも必要かもしれません。

 

2.紙粉の出にくい紙を選ぶ

こちらは、クライアント様次第ですが、紙を選ぶ際に紙粉が出にくい紙を選ぶことも手段の1つです。ただし、生産するものや印刷との相性もありますので、現実的ではない場合も多いかもしれません。

 

3.紙目を意識して面付

こちらも、各工程との調整が必要ですが、面付方法を決めることができるのであれば、紙目と製品の形を考慮して面付を行うという方法もあります。例えばパッケージでしたら、特に紙粉を発生させたくない辺は紙の繊維と平行になるよう配置することで、綺麗に見せたい部分は紙粉を抑えるという事が可能になるかもしれません。ただし面付は印刷や表面加工、そしてトムソンでも様々な要因を考慮して方向を決めるので、難しい場合が多いかも…

 

4.仕上げ作業で除去

1~3でできる対策は全部した、それでも紙粉が発生してしまった、そんなこともあると思います。(ヤマトでも日常的にあります)
そんな場合は、落丁後にヤスリやスポンジ研磨剤、布等を使って、紙粉やヒゲを除去する事が有効です。
紙・鉄ヤスリ スポンジ研磨剤 白い布

前述したとおり、紙粉を完全になくすことはできません。しかし、人の目で確認しながら除去することで、製品を綺麗な状態で納品することが可能です。

 

最後に、紙粉・ヒゲ対策のまとめです。

  • 紙粉・ヒゲは、紙と刃の摩擦を減らして改善する
  • 紙種や面付によっては、どうしても発生を防げない場合もある
  • 防げない場合は、仕上げ作業で除去

 

以上、今回は、ヒゲ・紙粉の原因と対策についてのトムソン豆知識でした。

ヤマトでは、化粧品や薬箱等、品質に厳しいパッケージのトムソン加工も多数実績がございます。トムソン加工の品質にお悩みがありましたら、ぜひ大阪のトムソン屋 ヤマト紙工までご相談ください。
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