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トムソン加工におけるゴム付の重要性

トムソン抜きをする際、木型にゴムをつける作業があります。ゴム付作業は実はトムソン加工の中でも大切な作業の1つです。こちらの記事では、そんなゴム付について、詳しく説明していきます。
もし、トムソン加工をご存じない方は、ぜひこちらの記事を先にご覧下さい。
トムソン豆知識(トムソン加工とは)>>

■そもそもトムソン木型って何?

トムソン木型とは、ベースであるベニヤ板を重ね貼り合せた、厚み15mm程度の板にレーザーで溝加工を施し、その溝に罫線用の刃物やカット用の刃物を埋め込んだものです。ちなみに、トムソン木型に使用される刃物はトムソン刃と呼ばれます。

ゴム付前の木型
上の写真がトムソン木型の写真です。この木型のまま、打ち抜き機械にセットしてトムソン抜きができるかというと、そういうわけではありません。

■トムソン木型のゴム付について

トムソン加工では、打ち抜く前にゴム付という作業があります。

ゴム付きトムソン木型 

ゴム付作業では上の写真のように、刃物のまわりにゴムをつけていきます。なぜトムソン木型にはゴムが必要なのでしょうか?

■トムソン木型に付けるゴムの役割について

トムソン木型に付けるゴムには主に2つの役割があります。

①打ち抜き時に、木型の刃物と紙がひっついてしまうことを防ぐ
②紙粉をでにくくする

では、①から順に詳しく説明していきます。

①打ち抜き時に、型と紙がひっついてしまうことを防ぐ

木型セット後、紙を1枚ずつ打ち抜きますが、 刃物のみの木型を使用した場合、打ち抜く際に木型の刃物と紙がくっついてしまって離れません。そこで刃物を挟むようにゴムやコルクを貼り付けることで打ち抜き時に、 ゴムの反発で紙が刃物から離れるようにします。

ゴム付け説明画像2

トムソン加工ゴム有アニメ 

刃と紙がくっついてしまうと、打ち抜き機の中を紙が流れていきませんから、トムソン加工ができません。実はとても大事な役割を持っているんですね。

②紙粉やメクレをでにくくする

紙粉というのは、読んで字のごとく紙から発生する粉のことです。トムソン型で打ち抜く際にどうしても紙粉は発生してしまいます。
紙粉の写真

しかし、打ち抜く際に、より硬度の高いゴムやコルク等でしっかりと紙を押さえつけることで、紙粉の量を少なくすることができます。

つまり、ゴムの貼り付け方によって、トムソン加工する製品の品質が大きく変わってくるのです。

 

また、メクレとは、紙が反り返って印刷部分がめくれ、元の紙の色が見えてしまう状態の事をさします。
 

このメクレの原因は様々ですが、適切な硬度のゴムを付けることで改善できる場合があります。

 

①②からわかるように、トムソン木型に付けるゴムには、重要な役割があるわけです。そして、その役割をきちんと果たすため、トムソン木型用のゴムにはたくさんの種類があります。

トムソン木型のゴム一覧
※上の画像のゴム以外にもたくさんの種類があります。

では、どのようにゴムを使いわければいいのでしょうか?

■トムソン木型の適切なゴム付について

ゴムは付いていれば、なんでも良いという訳ではありません。トムソン屋でも、すべてを把握できないほど多くのゴムがあり、熟練の職人でも日々適切なゴム付に奮闘しています。ゴムには様々な違いがありますが、主に硬さと高さに違いがあります。基本的に、より硬く、より高い方がゴムの反発力が強くなり、強い力で紙をはがすことができます。

そして、ゴムの使い分けは、主に以下2つで違いがあります。
①薄紙のトムソン加工
②厚紙のトムソン加工

他にも細かい使い分けはありますが、今回は上記の観点で適切なゴム付をご紹介させていただきます。

①薄紙のトムソン加工時のゴム付について

薄紙の場合、柔らかくて高さ7mmのゴムを使用します。

基本的には、カット刃(先が鋭い刃)が紙とひっつくので、カット刃を挟むようにゴムをつけます。

罫線刃と打ち抜き刃 ゴム付き木型(拡大

薄紙は刃にひっついても、少し力を加えてあげるだけで紙をはがすことができるので、柔らかいゴムで十分です。また、薄紙は厚紙に比べて紙粉がでにくい特徴があります。この理由からも硬いゴムをつけなくて良い場合が多いです。

②厚紙のトムソン加工時のゴム付について

厚紙の場合、硬くて高さ8mmのゴムを使用します。厚紙と刃を離す場合は、薄紙の時よりも力が必要です。薄紙と同様にカット刃など鋭い刃物を挟むようにゴムを貼り付けますが、厚紙の場合はコルク(ゴムよりも硬い)を使う場合があります。

コルクと固いゴム

厚紙には紙粉が出やすい紙(カード紙や蒸着紙など)があり、硬いゴムだけでなく、コルクを併用して紙粉を抑えます。特に、紙目に対して逆らうように刃を入れる場合、コルクが活躍します。これは、逆目でトムソン加工をすると、より紙粉がでやすいためです。

順目の紙粉 逆目の紙粉

今回は、薄紙と厚紙の観点に絞ってご紹介しましたが、紙の種類・紙目・形状の複雑性・刃の種類・刃の間隔など、様々な観点を考慮してゴムを選定する必要があります。まさに職人技ですね。機械のオペレーションだけでなく、このような細かい作業にも職人の腕が表れるのです。

■まとめ

最後に、トムソン木型のゴム付について簡単にまとめます。

  • ゴム付は、トムソン加工に必要不可欠で大切な作業の1つ
  • ゴム付によって、加工物の品質に大きな影響を与える

ゴム付は木型屋が行う場合もありますが、ヤマトではほとんどの木型のゴム付を行っています。それは、トムソン加工する製品の品質を保つためです。お客様に満足いただけるよう、細部にまでこだわったトムソン加工を心がけています。

以上、トムソン木型のゴム付作業のご紹介でした。ゴム付作業は、木型屋やトムソン屋が行う作業の一環で、お客様が何か意識する必要はありませんが、この記事を通して、ヤマトのトムソン加工への熱意やこだわりを少しでも感じていただければ幸いです。

 

また、トムソン加工のご相談・ご依頼などございましたら、大阪のトムソン屋 ヤマト紙工までお気軽にお問合せください。
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