トムソン加工における、罫線(折スジ)入れについて
本記事では、トムソン加工における、罫線(折スジ)入れについてご紹介させていただきます。
トムソン加工って何?という方は、こちらの記事からご覧ください。
トムソン豆知識(トムソン加工とは)はこちらから>>
■そもそも罫線(折スジ)入れとは?
罫線とは、紙を折りやすくするために入れる折り目・スジのことです。
この罫線入れは、トムソン加工では打ち抜き(完全に切り抜くこと)や、穴抜きと同時に行います。罫線を入れることで、パッケージや封筒などを簡単に組み立てることができるようになります。
一部の封筒などの製品においては、トムソン加工では罫線を入れずに後工程(製袋機)で折る場合もありますが、パッケージなど身の回りの様々な製品に罫線は入っており、トムソン加工でもよく行う加工の1つとなっています。
■罫線入れの方法について
罫線がどのように入れられているかご存じでしょうか?
トムソン加工を行う際はトムソン型(木型)を使用します。このトムソン型に様々な種類の刃を埋め込みプレスすることで、打ち抜き・罫線入れ・ミシン目加工などを可能にします。罫線入れをする場合は、罫線刃というものを使用します。罫線刃は完全に打ち抜く刃とは異なり先がとがっていません。
この切れない刃によって、罫線をいれることができるわけです。ただし、罫線刃でプレスするだけでは、罫線をいれることはできません。罫線を入れるには、面紙切りという作業が必要になります。
■面切りについて
面紙とは、面板に貼り付ける紙の事です。この面紙を貼り付けたうえで、罫線が入る部分を切り抜く必要があります。この切り抜き作業のことを面切りと言います。
切り抜くことで罫線が入る部分に溝が発生し、プレスした際に、罫線(折スジ)が入る仕組みです。
この面切りの作業は実はとても大切な作業で、職人の腕によって製品の仕上がりが大きく変わってきます。なぜなら、面切りで切り抜いた溝に応じて、製品に入る罫線の強さや太さが変わってくるからです。
■罫線は弱すぎもダメ、強すぎもダメ
では、なぜ罫線の強さや太さが大切なのでしょうか?
そもそも、罫線の太さや強さというのは、紙の折りやすさに関わってきます。例えば、厚い紙の場合、罫線は太く・強く入れておかなければ、うまく折ることができません。また、罫線が適切に入っていないと背割れ(折った際に印刷がはげて、ひび割れたようになること)の原因にもなります。
逆に薄紙の場合には、厚紙の時ほど太く強い罫線は入れる必要がありません。また厚さだけでなく、紙の種類によっても折れやすさというのは変わってきます。それなら、とりあえず強い罫線をいれておけばいいじゃん、と思うかもしれませんが、罫線を強く入れすぎることも、製品の品質低下につながってしまう場合があります。
このように紙の種類や厚さによって、適切な罫線を見極めた上で面紙切りを行う必要があるわけです。まさしく職人技ですね!
ちなみに、薄紙のトムソン加工は一般的に難しいとされていますが、ヤマトでは薄紙のトムソン加工を得意としています。薄紙のトムソン加工でお困りでしたら、ぜひお問合せください。
■より折れにくい場合は罫線だけでなくミシン目も使う
さて、折りやすくするために罫線を入れるというお話をしてきましたが、実は、罫線以外の加工を施す場合もあります。それはミシン目入れです。ミシン目とは、カットしている部分としていない部分が交互に続いている加工の事です。
このミシン目は、折れにくい紙をしっかり折りたい場合に使用します。例えば、厚紙のペーパークラフトやトレーシングペーパーの折り加工にミシン目を使うことがあります。
ミシン目はカット部分がありますから、もちろん罫線よりも折れやすいわけです。ただし、薄い紙やちぎれやすい紙にミシン目を入れると、ミシン目に沿ってちぎれてしまいますので、厚紙やトレーシングペーパーなどに入れるんですね。(もちろん切り取り目的でミシン目を入れる場合は薄い紙にもミシン目加工を行いますよ)
■表抜き・裏抜きの罫線について
トムソン加工には、実は「表抜き」と「裏抜き」があります。表抜きは印刷面側からトムソン刃をプレスして抜くことです。裏抜きは印刷物の裏面からプレスして抜きます。表抜きした場合と、裏抜きをした場合では、罫線の入り方が変わります。
実は、紙の厚さや罫線の数などによって、表抜きと裏抜きを使い分けています。表抜き・裏抜きについては別の記事で詳細に説明していますので、ご興味あればご覧ください。
トムソン豆知識(トムソン加工時 表抜き・裏抜きの「違い」「使い分け」を知りたい)はこちらから>>
■まとめ
罫線入れについて、まとめを記載します。
- 罫線とは折り目・折スジのこと
- 罫線は適切な強さ・太さで入れる必要がある
- 製品に応じて、表抜き・裏抜きを使い分ける
罫線は機械的に入れられるものではなく、使用する紙の厚さ・種類・用途などに応じて職人が適切な太さ・強さを見極めて入れなければなりません。また、罫線の入れ方1つで製品の品質が大きく変わってきます。
ヤマトでは一流の職人が知識・経験から罫線入れを行っており、常に製品の品質を保つことを意識してトムソン加工をさせていただいております。トムソン加工のお悩み・ご相談・ご依頼などございましたら、お気軽に大阪のトムソン屋 ヤマト紙工までお問合せください。