トムソン加工とは ~紙の型抜き手法について~
トムソン加工とは
トムソン加工とは、木型を使って様々な形に型抜きをすることです。主に紙を型抜きします。トムソン加工では、パッケージや封筒、スイングPOPなど様々な製品を作ることができます。専用の型を作りますので、自由な形に紙を切り抜くことができるわけです。
トムソン加工では、単に型抜きをするだけでなく、穴をあけたり、折り目をつけたり、ミシン目を入れて手で千切れるようにしたり、色んなことができます。
トムソン加工で使われる木型のことをトムソン型と呼びます。簡単に言うと、クッキーの型抜きのようなイメージで、紙を抜いています。
トムソン型について
トムソン型はベニヤ板に溝を掘り、その溝にトムソン刃(鋼でできた刃)を打ち込んで作成します。土台に木を使用しているため型のコストを抑えることができるのが特徴です。ただし、複雑すぎる形(幅が狭すぎたり、角度が鋭いデザインが含まれる形)を抜くには、向いていません。
トムソン型は木でできていますが、他の素材を使用した型も実はいくつか存在しています。
トムソン型以外の代表的な型と特徴を比較してみました。
■トムソン型とその他型の比較
比べてみると、トムソン型はオールマイティなバランス型という印象です。高精度なデザインの型抜きはできないとありますが、下の画像のような形であれば、トムソン型で型抜きできます。
ちなみに、複雑な形を高精度に抜きたい場合、レーザーカットという手法もあります。
レーザーカットは、型をつくらずに抜くことが可能ですが、1枚のカットに時間がかかるため、大ロットの生産には向いていません。
トムソン抜きの方法について
■平盤打抜き式
トムソン加工は、平盤打抜き式と呼ばれる型抜きの仕方を採用しています。これは、抜型を固定して、面板を上下運動させることで、加工されるものを挟んで加工する方式です。
1枚ずつ型抜きしていく特徴があります。型抜きする際、同時にスジ(折り目)を入れたり、穴を開けたり、ミシン目(紙を手で切り取れるようにする加工)をすることもできます。そのため、パッケージやオリジナルの封筒、紙製のファイル、紙製POPなどを型抜きするのに向いています。
トムソン加工の様子が気になる方は、下の動画をご覧ください。
■その他の打ち抜き式
○ブッシュ抜き
トムソン抜き以外に、ブッシュ抜きと呼ばれる抜き方も存在します。こちらは、トムソン加工のように1枚ずつ型抜きするのではなく、金型を使用して、大量の紙(500枚ほど)を一度に型抜きすることが可能です。トランプやメモなどを型抜きするときは、この方法で型抜きされます。
ブッシュ抜きは、大量ロットの型抜きに適しています。その反面、複雑で細かい形を抜くことはできません。また、耐久性の高い鋼型が必要なので、型代が高くなります。
○ポンス抜き
重ねた紙の上に金型を置き、上から加圧して紙を型抜きます。封筒の窓抜き加工によく使用されます。ブッシュ抜きと同じく紙を重ねて抜きますが、10枚~20枚ほどが限度です。ただし、ブッシュ抜きでは型抜きできない細かい形や複雑な形を抜くことができます。
大量生産には不向きで、少量生産に向いています。金型はブッシュ抜き型と比べると安くすみますが、トムソン型と比べると高くなります。
○エキセン抜き
エキセン抜きとは、エキセン刃と呼ばれる封筒の角を抜く刃を上下に動かし4角を抜く方法です。これは主に封筒の抜き加工に用いられます。一気に300~500枚ほど加工できます。また、以下の理由で、コストが安く済みます。
・エキセン刃は流用できる
・4角のみ切り落とすため紙の廃棄部分が少ない
窓加工もできますが、窓の数が多かったり、窓の形が特殊な場合は、トムソン加工で抜く必要があります。また、ミシン加工やジッパー加工はできませんので、この場合もトムソン加工になります。
関西と関東でトムソン加工の呼び名が違う?!
トムソン加工という名前は、関西圏でよく使われる名称で、関東ではビク抜きと呼ばれることが多いようです。トムソン加工の『トムソン』は人名で、発明者のジョン・S・トムソンが由来だといわれています。対して関東の『ビク』はビクトリア打抜機という機械の名前で、これはドイツの活版印刷機を打抜機に改造したものだそうです。呼び名が違うだけで、どちらも同じ加工方法です。
トムソン加工まとめ
トムソン加工、型抜き加工など調べてみるとなかなか奥が深い世界でした。自分の作りたいものとその数量に応じて製造方法をうまく選択することが大切ですね。トムソン加工で型抜き可能なアイテムは匠のブログに事例を掲載していますので、気になった方は、ぜひチェックしてみてください。
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